Q&A


こちらのコーナーでは、お客様よりお問い合わせがございました内容から抜粋・加筆して、ご紹介致します。 

Q.ウレタン塗料を使用していますか?

A.当工房で、過去、製作販売しました竿は全て100%本漆塗り仕様です。製作者自身が化学素材に頼りたくないとの強い想いで竿作りを行っておりますので、今後も科学塗料を使用する積りは一切ないです。

本漆塗りは、ウレタン塗りとは異なり、地道な塗り重ね作業が必要で、正味、手間を掛けなければ良い仕上がりには成らないです。輪島塗のような本漆塗りの漆器とウレタン漆器に雲泥の価格差がありますよう、本漆塗りの竿には、それなりの価値は十分にございますこと、ご周知頂ければ幸いです。


 Q.竿作りは教えてもらえますか?

A.現在のところは、製作販売活動専門で、「竿作り教室」等の技術供与に関連します営業は行って無いです。
今後もし、余裕ができる時が来る機会がありましたら、私なりに体得したものを何らかの形で公開したいとは考えております。


 Q.竹素材の販売はしてもらえますか?

A.現在のところは、出来る限り注文竿の製作活動に注力したいので、竹素材及び半製品の販売は行ってないです。
ですが、将来的には、素材販売も手掛ける事を考えております。

 

Q.竹竿の手入れ及び保管方法は?

A.「お手入れ方法・取り扱い及び保管の留意点」頁を開設致しましたのでこちらの方をご参照下さい。  

 

Q.和竿の手入れ油は?

A.和竿の手入れ油は一般的には椿油が使われていると思いますが、昔のような純正油が入手できればよいのですが、防錆材・防腐剤・香料・着色料・保存料等の添加物が混入している油の場合は、竹の細胞に悪影響を及ぼす懸念があります。漆塗料は化学塗料とは異なり、浸透性がかなりあり、一度油を塗ると長期間、竹の繊維内に油が浸透した状態になる場合もありますので、安全性の高い油を選択する必要があると思います。又、手入れ油は、艶出しや防水効果が期待できる一方で、付け過ぎますと、湿気が高い時期などは竹内部にかえって湿気が隠ったりする逆効果になり兼ねませんので注意する必要があります。差し込みに使われています鬢付油の使用にも同様のことが言えると思います。
 


 Q.石鯛竿の石突きの材質は?

A.当工房では石鯛竿石突きの素材は、標準品の場合、樫材を使用ております。輸入外材で強度や美観に優れる好素材も多くありますが、使い込まれた竿を見ますと溝欠けが生じているものも目立ちます。樫材は、決して高級材ではなく、ごくありふれた一般材ですが、外材にはない粘り強さがあります。又、日本の自然の中で育まれた竹材で竿を作っておりますので、石突きも、やはり身近な国産材での手作り品を作りたいとの思い入れもあります。樫材石突きの作製は、自家所有の山林から鋸引きした素材を小割して、ノミと小刀で削り出し、ヤスリで整えて、更に手間は掛かりますが、割れ防止の為、輪島塗りなどの漆器作製方と同様に、麻布貼りと錆漆で入念に補強した大変堅牢性に優れる作りに仕上げております。ご注文竿の場合は、お好みの素材各種でご指定可能です。


 Q.石鯛竿の節数設定は?

A.石鯛和竿の節数設定は、色々と論議され拘りを持つ方も多いと聞きます。当工房では石鯛竿はバランス性能を重視しまして布袋竹1本物(一本の竹をそのまま継ぎ合わす形式)の素材を使用する事が多いですが、先ず素材を選定するにあたりましては、節数よりも節並び(節配置のバランス)に着目しております。節並びの良い竹で作製した竿は綺麗な曲がりを呈し、まさにバランス性能の良い証です。でも、1本物の場合、根元から先端までの5m強の全てに渡り、節並びの良い竹というのは極稀少で、殆どの竹は、何れかの部分で節間隔が急に縮まったりする不規則区間が生じています。竹竿は、硬くて強度がある節部分と、しなやかで柔軟性がある節間部がバランス良く配置されることにより、しなやか且つ、弾力性能に優れる独特の調子を生み出していますが、仮に一部分で節詰まり区間がありますと、その部分は硬く突っ張り、その前後の節間部への負担が大きくなりバランスが崩れ弱点となってしまします。ゆえ、節並びには特に配慮しております。素材選定における目安の節数は、1本物18尺3本継ぎの場合、穂持ち部材を目安とし、10節物で、中間ガイドを5個配置設定というパターンが、現在のところは、強度・バランスともに、丁度良いのではないかと考えております。節数が少なくなりますと食い込み性能は良い反面、パワー不足傾向となり、節数が多くなりますと、手元から中央部にかけてのしなやかさが低下し、先端部に負担が集中する傾向が強くなります。


 Q.竹竿の寿命はどの位ですか?

A.天然素材の場合でも、例えば「手漉き和紙」などは千年は保つとも言われる位の高性能で、同じく、竹竿の場合でも保存状態が良好で適切にメイテナンスをして行けば、十分、生涯に渡りお使い頂けると思います。当工房にも製作より半世紀は経過した昔の竹竿の整備依頼がございますが、竹の繊維さえ健全であれば、漆を塗り替えて整備すれば新品同様に生まれ変わります。が、一方でご注意頂きたい点は、あくまでも竹は「ナマモノ」でありますので、保存状態が不良(高温多湿環境)だと、短期間で細胞が傷んでしまい、粘り強さや柔軟性が著しく低下し、釣り竿としての機能不全(寿命)となってしまいます。竹竿の保管方は「取り扱い及び保管の留意点」頁をご参考下さい。


 Q.誂え品(注文竿)の価格と納期はどの位ですか?

A.たなご竿、渓流竿、鯉竿などの並継ぎ和竿のご誂え価格は、尺当たり単価に因る算定で鮒竿に準じます。「鮒竿誂え品」コーナーを参考にして下さい。又、海和竿や丸竹フライロッドなどのガイド竿のご誂え価格は、尺当たり又はフィート当たり単価に因る算定で別途にパーツ(ガイド・リールシート)代が加算となります。ガイド竿のご誂え価格は、「カスタム丸竹ルアーロッドコーナー」を参考にして下さい。製作期間は注文状況にも因りますが、標準的な仕様の竿で6ヶ月位です。


 Q.丸竹ロッドの重量はどの位ですか?

A.既製品の丸竹ロッドの参考重量は下記の通りです。

作品番号R-1トラウトルアーロッド6ft7in-110g
作品番号R-2トラウトルアーロッド8ft7in-210g
作品番号R-3ロックフィッシュロッド6ft3in-110g
作品番号R-4メバルルアーロッド7ft5in-130g
作品番号R-5エギングロッド8ft10in-225g
作品番号R-6エギングロッド9ft2in-210g
作品番号R-8エギングロッド7ft4in-170g

作品番号F-1フライロッド6ft5in-85g
作品番号F-2フライロッド7ft1in-100g
作品番号F-3フライロッド7ft2in-100g
作品番号F-5フライロッド8ft9in-110g
作品番号TF-1フライロッド9ft3in-120g

参考までに和竿では、

作品番号UK-1海和竿175cm(5ft9in)-100g
作品番号KE-1渓流和竿302cm(10ft)-90g

 丸竹ロッドは中空構造なので意外と軽いです。特に細身のフライロッドでは、数値的にもカーボンロッドの重量とも大差はないです。又、ルアーロッドとフライロッドでは同様のレングスの場合、重量は倍ほどの差がありますが、竿の実際の使用感(持ち重り感)は、竿重量ではなくモーメント(自重×重心距離)に因りますので、ダブルハンドグリップ・ファーストテーパー(低重心)仕様のルアーロッドの使用感は、重量とは逆で軽快に感じられます。当工房の丸竹ロッドの作製は、竿重量よりも実際の使用感(モーメントバランス)の方を重視して作製しており、モーメントのバランスの調整は、手間は掛かりますが竿全体を継いだ状態でバランスを確認しながらグリップの加工作業を行っております。15尺(4.5m)以上の和竿と成りますと、さすがに少し重く感じますが、9フィート(2.7m)までのショートレングスの丸竹ロッドの場合でしたら、竹製ロッドでも重さにストレスを感じることなく御使用出来きると思います。


Q.ギリ竿の販売予定はありますか?

A.今のところ、誂え品(注文竿)の作製作業を最優先して行っておりますので、次回「ギリ竿」の製作予定は未定でございますが、ギリ竿の御誂え注文は、いつでも承っております。注文竿でも既製竿クラスの価格帯から御誂え出来ますので是非ご検討下さい。
 


 Q.既製竿の改良は出来ますか?

A.現在サイトにて掲載されております既製竿のガイドやリールシートなどのパーツ交換や漆の塗り替えなどの改良は可能です。価格的には、既製価格に改良費を加算したものになりますので、新規にご注文される場合より割高となりますが、納期は注文竿より短くて済むメリットもございます。双方でご検討下さい。


Q.現物(既製竿)の拝見は出来ますか?

A.工房へのお越しはいつでも歓迎致します。工房所在地は四国(高知)の方ですが、四国は自然環境に恵まれており有名釣りポイントも多いので、釣行がてら遠方からもお越し頂いております。興味のある方は是非ご一報下さい。 


Q.既製竿の納期はどの位ですか?

A.既製竿のご注文頂きましたら、先ず製品の点検を行いまして問題がなければ、次に竿袋を作製していない製品につきましては、竿袋の作製の方と、あと、後々のメイテナンス依頼時にも利用します、送付用の梱包ケース(有料品と無料品有り)の作製を行います。製品の補修が必要な場合を除き、通常は一週間以内の発送になります。 


Q.丸竹フライロッドはどの位の大きさの魚まで対応可能ですか?

A.高野竹製の丸竹ロッドは細身ブランク仕様でも、節折れし難く粘り強いです。参考までに、へら鮒釣り用の細身高野竹竿でも二尺クラスの野鯉が取り込めますので、トラウト系の淡水魚の場合でしたら最大で下記のクラスまでは対応可能範囲です。

ブランク元径 5〜6mmロッド 50cm級 迄
ブランク元径 6〜7mmロッド 60cm級 迄
ブランク元径 7〜8mmロッド 70cm級 迄

当工房で主に作製しております一般渓流用の低番手の丸竹フライロッドの場合でしたら、竹竿の扱いが初めての方でも40cm迄の魚なら十分対応可能です。
 


 Q.購入時の送料と消費税は?

A.価格表にて掲載しております価格は税込みの価格です。送料は、現在のところは無料サービスとしております。竿の購入を希望されます場合は、通信販売に関する表記をご確認下さい。


 Q.ロッドケースの注文は出来ますか?

A.竿ケースは、竹材との相性の関係から桐箱竹筒及び竹鞘を扱っており、ケース単品でのご注文も可能です。(付属品・小物作品集でも紹介しております。)その他に、短期納品可能な割安自家製品の梱包用木箱も注文作製しており、後々のメインテナンス依頼時や釣行時の車での運搬などにも十分にご利用できるものです。


 Q.ネーム入れは出来ますか?

A.一部の総塗仕様既製竿を除き、注文竿、既製竿共に、ご指定の文字入れサービスは可能です。


Q.へら鮒竿の口巻き仕様の在庫品はありますか?

A.当工房では、へら鮒竿は「段巻き」を標準仕様として採用しております。段巻き竿は、漆仕事の量が多いため製作には手間を要し大変ではありますが、竹竿の欠点を実に合理的に補強する優れた手法であります。竹は本来、節の部分は節間より強い部分ですが、釣り竿にするために、火入れ処理や節抜きをするので、竹本来の持つ強度バランスを崩してしまいます。特に薄抜きが必要になる胴調子の口巻き竿では、長期間使い込むと目割れや節折れなどの障害が出てくるリスクが高くなります。段巻き竿はそうした竹竿の欠点を克服した実践重視の竿と言えるでしょう。口巻きへら竿は、今のところは注文品のみの作製です。 


Q.丸竹フライロッドとバンブーロッド(六角竿)ではどちらが強度がありますか?

A.素材強度は、一般的には和竹よりトンキンが強いと言われておりますが、実測値を確かめないと定かではありません。双方共、素材のレベルにより、かなり強度のばらつきがあると思います。構造的な面から断面性能を比較して見ますと、同一の直径(対角長)のパイプ形状と正六角形で断面係数を試算して見ますと、丸竹の中空径の程度にもよりますが、殆ど拮抗した数値になります。この事は、径が同じであれば断面性能には大差がないことを示していますが、バンブーロッドの場合は、強度が大きい太竹の表皮部分を集積していますので、一般的には、バンブーロッドの方が集積効果により強度が大きいのではないでしょうか。ただ、丸竹の場合には断面性能とは別途に、節構造による支え効果がありますので、軽くても(中空構造)曲げや捻れに強い(節効果)極めて優秀な構造と言えるでしょう。 


 Q.磯竿の注文作製は出来ますか?

A.上物・底物竿、共に承っております。底物竿は布袋竹製で3本継ぎ仕様の素材を主体に扱っております。上物竿は、布袋竹をはじめ、矢竹や高野竹でも作製可能です。詳細は、お問い合わせ下さい。


 Q.漆仕上げの色合い調整は出来ますか?

A.漆仕上げの色具合は、漆の種類や塗り方により調整することが出来ます。漆塗りの紹介頁をご参考下さい。


Q.丸竹ルアーロッドのガイド配置数の仕様は?

A.カーボンロッドやバンブーロッド(六角竿)は、設計に基づいた型を使い作製する為、アクションやガイドの配置個数などは、規格化されておりますが、丸竹ロッドの場合は、現実に入手する事が出来た個性の強い竹素材の中から、最も目的とするアクションに適合する素材を選定し、更にその素材のバランスや強度等の性能が最大限に発揮されるように、ガイドの配置や個数などの仕様詳細を決定するために、当工房では、アクションやガイドの配置個数等の仕様・規格の標準化は特に行ってないです。和竿も含めまして竹製のガイド竿の場合は、ブランクの構造・材質が均一なカーボンロッドやバンブーロッドと異なり、どうしても節の位置や節の間隔でガイドの配置は拘束され、最適なバランスを求めますと、竹一本毎に節の位置が異なりますので、自ずと竿一本ごとに微妙に異なるガイド配置になります。丸竹ロッドのガイド配置の決定方法は、竿一本毎にテープでガイドを仮り付けして実際にラインを通してバランスを確認しながら配置調整を行っております。 


 Q.丸竹ルアーロッドのグリップの仕様は?

A.当工房では、丸竹ロッドのグリップは、「綿握り」や「漆塗り握り」などの和風仕様を採用しております。和風グリップの構造は、主に「へら鮒和竿」で採用されております新聞紙をブランクに巻き付けた下地に漆を吸わし固めたもので、漆塗りグリップの場合は、更に割れ防止のために全面を絹糸で補強巻しています。この構造形式のグリップは、表面部は強度や耐久性に優れ、かつ、内部は柔軟性に優れており、キャスト時には、グリップ部分もしなりますので、反発力が増幅し、キャスティング性能が向上しています。また、キャスト&フッキング時の衝撃は、同じくグリップ部分がしなることにより、ロッド全体で負荷を吸収し、ブランクへの負担を軽減しています。グリップのフォルムは、操作性の考慮は勿論のこと、何よりロッドパワーとのバランスを重視して作製しており、竹竿の場合一本一本微妙にアクションが異なりますので、それに合わせてロッドを継いだ状態で全体のバランスを確認しながら削りだしています。