工具・材料紹介 炭編

土佐備長炭(燃料材)

火入れ作業の燃料に用いる炭です。材はウバメガシで火力が強く火持ちが良いのが特徴。火力が強くても、火質はまろやかでかつ極めて安定していて、ムラ焼けなどの失敗が無くしっかりと焼き入れすることが出来る優れた天然燃料です。調理用の長手で径の揃った高級備長炭は大変高価ですが、写真のような一般品は、樫材の黒炭程度の価格でも入手可能です。この炭と国産漆と良質竹材は当工房竹竿作りの三本柱で必要不可欠な材料です。


竹炭(研磨材)

こちらは漆の荒研ぎや中研ぎに用いる研磨材です。漆の研磨材はサウンドペーパーや砥石類を使用していた時期もありますが、現在は漆の研磨材は主に天然炭を使っております。炭材は目詰まりが無くキレがあり良く削げますがソフトタッチで下糸に食い込み難く、研ぎ面も滑らかな仕上がりになります。また、デコボコで一見使い辛く見えますが、柔らかく容易に研ぎ面に馴み、ガイド竿などの細かい部分を研ぐのには、形状が複雑な方が研ぎやすい形状の面が選べて都合が良いです。漆芸では荒研ぎ材は駿河炭と呼ばれる研ぎ出し専用の炭を用いますが、駿河炭の生産は稀少で大変高価な研ぎ出し材なので、最近は火入れ作業の際に備長炭に着火する為に燃やす竹材から出来る竹炭を代用しています。竹炭はキレはありありますが崩れやすいので、どんどん交換しながら研いで行きます。


呂色炭(研磨材)

こちらは仕上げの研ぎ出しに使う呂色炭です。材はサルスベリの木などで、炭質はきめが細かく繊細タッチで研ぎ面は滑らかな仕上げになります。
 その他には、角粉や砥粉、仕上げ用の微粒子の研磨材等などを使います。

研磨用炭材色々

漆の研磨作業は、竿作りの工程の中でも特に手間のかかる作業の一つですので、研磨材は、荒研ぎ用の竹炭から仕上げ研ぎ用の呂色炭まで、色々な素材を試して、その作業速度や仕上がり具合の良さを追求しています。