工具・材料紹介 漆室 編

当工房で作製しております竹竿の塗装は、すべて本漆を採用しています。本漆の乾燥には通常、室(ムロ)と呼ばれます乾燥専用の木箱が使われます。ここで少々、漆仕事についてご紹介させて頂きますと、天然漆の乾燥具合は、温度や湿度などに敏感に作用されますので、季節や気象による自然条件の影響を大きく受ける事になります。特に梅雨時分は乾きが早く、塗り作業途中にもどんどん乾燥硬化が進みます。漆は急速に硬化すると皺々に縮んで失敗塗りとなりますので、特に湿度が高くなる雨天時の作業では、塗り厚などには気を配ります。反対に冬季は乾燥が殆ど進ままないので加湿や加温を行う事になりますが、加湿や加温は適宜に行わないと、乾燥ムラや水焼けと言われますこれまた失敗塗りとなります。難しい事を記述しましたが、本漆は、その扱いに慣れれば大変便利な塗装で、その塗膜の美しさの他、補強効果も高く、そして何より竹材との相性の良さはピカイチであります。
 

漆室(大)

こちらは、長尺物専用の大型室です。


漆室(中)

こちらは、一般中尺竿用の中型室です。




漆室(小)

こちらは、小物竿専用の小型室です。



最近は大物竿を作製する機会が多く成りましたので大型室を増設しました。




枕木

こちらは、室内に竿を並べる為の枕木です。


竹竿と言いますと、その本漆塗りの美しさの魅力も大きいところですが、漆仕事は大変手間暇を要する作業で漆(国産物)自体が高価な事と合わせて、竹竿が高価である大きな要因となっております。が、前記致しました天然本漆ならではの素晴らしい特性がある事と何卒ご理解下さい。